苗木生産地 視察 報告

松嵜 由利子        

視察日時:平成26年2月19日(水)
視察先:スギタ農園、古川庭樹園
メンバー:繁村氏、阪口氏、宮崎氏、出村氏、松嵜

 NPO国際造園研究センター 繁村氏及び大阪造園土木株式会社 阪口氏の計らいで、大阪府内の2か所の苗木生産地の見学及び生産者の声を聞かせていただくことができた。

1. スギタ農園

大阪府堺市美原区菅生    杉田 満氏

 数か所に分かれた敷地に、それぞれの樹木の特性別に集約されて展示、育成されていた。
 全国の産地から取り寄せ、農園敷地内で展示、育成する樹木の卸売的な役割。

最近の人気種

  • ナワシログミ ギルドエッジ:斑入りで葉色が華やか、強い、街路樹向き。
  • ハイノキ:シマトネリコに変わり、戸建の庭などに最近人気。
  • ベニバナトキワマンサク:強い、花色が鮮やか、公園、街路樹にも向く。
  • フェイジョア:実が食べられる。花も鮮やか。庭木に人気。

水がめ

出荷直前にここに根株を十分浸すことで、植栽地での活着に大きく差が出る。

産地からの入荷状況

この状態で入荷した苗を、農園敷地内に植え直し、仕立て直し、出荷できる状態に育成していく。

仕立物

1本数千万円クラスの仕立物。最近中国からの受注が増えている。

仕立物の仕立て前、仕立てはじめ。職人技。あまり見ることのできない姿。

2. 古川庭樹園

大阪府南河内郡河南町馬谷   古川 元一氏

 数か所に分かれた合計70,000屬良瀉呂乏銅錣亮木を育成。馬谷圃場は、山そのものが圃場となっており、このあたりが良好な真砂土であるため、そのまま展示、育成地として管理されている。
 また、国内外への出荷も多く、特にセンペルセコイヤは日本有数。

主な樹種

  • プンゲンストウヒ
  • センペルセコイヤ
  • オリーブ
  • ハクサンボク
  • アカシデ
  • オオサカフジザクラ
  • イジュ
  • ユーカリ(天王寺動物園 コアラ用)


土壌改良

ネニサンソ2号が有効。
バークは2年で効果がなくなってしまう。
ネニサンソのみで十分。

展示方法

 地元の子どもたちの校外学習や、建築デザイナーなどの見学受け入れなどに積極的に取り組まれており、そのための樹名札や写真、特徴など様々な展示物にも力がそそがれている。

まとめ

 今回の2か所の見学は、府内にありながら、これまでほとんど見ることのなかった苗木の生産現場、生産者の声を知り、学ぶことができ、非常に貴重な体験であった。
 樹木にも、はやりすたりはあり、また新品種もどんどん生み出され、さらに、様々な環境に適応した樹種の研究なども進んでいるものの、普段の仕事を進める上ではなかなか知ることができない。
 たとえ、書籍や雑誌で興味をもったとしても、その特性などを最も知りうるのは生産者の方たちであるが、実際はその方たちの声を聞くことなく、十分な知識もないまま現場に導入し、枯れてしまうような失敗は多々見受けられる。
 今回のように生で見せてもらい直に教えてもらうことは、新たな発見と現場に自信をもって生かすイメージを持つことができ、非常に有益であると思う。問題は、仕事としてなかなか来れないことであるが。
 それにしても、予想通りではあるが、生産者の方々が、日々技術を培い、情報を入手し、トライアルを重ね、蓄積されているノウハウに、改めて感心させられた。
 そして、大阪をもっと美しく、緑あふれる街にしたいという、私たちと共通の思いを持ち、生産者の立場で、若い建築家に緑化を促す勉強会を開催したり、地元の子どもたちに緑の大切さを学ぶ校外学習を積極的に行ったり、精力的に活動されていることは、今回の見学ではじめて知った。
遠方ならまだしも、府内にこのような優れた生産者の方たちがいるにも関わらず、ほとんど接点をもたずに公園づくり、街路樹管理をしていることを、改めて反省した。
   
 昔は、役所の職員と生産者も顔見知りであったというような話をいずれの生産者からも聞いたが、今は、世の中の時勢として全く接点がない。様々な立場において、まとまれば大きな力になりうるものを、どんどん距離が離れているような寂しさも感じた。現実に、仕事で接点を持つことはほとんどない。
 しかしながら、若い建築家などと緑化の勉強会を行うなどの取り組みには、プライベートでも時間ができればぜひ参加してみたい。役所の若手にも、ぜひ参加してもらいたいと感じる。
 そして、事務が複雑化し、引きこもりがちな役所の技術職は、そこに埋没するのではなく、もっと現場に出て、体感し、センスを磨き、様々な立場の人と意見を交わし、時代の潮流に敏感になり、そこから次に進む方向性を見いだせるような人材になることこそが役所の技術者のあるべき姿ではないかと改めて感じている。
 
 今回のNPO国際造園研究センターの企画と、快く見学、案内をしてくださったスギタ農園の杉田さん、古川庭樹園の古川さんに、心から感謝申し上げます。
 引き続き、若手にこのような機会があればと願っています。